前回は、教員のメリットについて、記事をまとめました。
前回に引き続き、今回は「教員でいることのデメリット」について、考えていきたいと思います。
特に、教員から企業への転職を考えられている方は、「教員でいることのメリットよりもデメリットの方が大きく感じるかどうか」で、考えてみるとよいかもしれません。
私の知り合いにも、教員から企業へ転職した方、教員から企業へ転職し、また教員へ戻ってきた方などがいます。
どの点が譲れないポイントなのか、を考えることが大切なのかもしれません。
教員でいることのデメリット①残業代が出ない
なんと、残業代が0(ゼロ)なのです。
世間ではあまり知られていないことなのですが、教員の世界では当たり前です。
なぜだか、気になりますよね。
教員の残業代の支給が不可能なのは、給特法(公立の義務教育諸学校等の教員職員の給与等に関する特別措置法:以下給特法)に定められているからだそうです。
詳しく説明すると、教員の勤務の特殊性から、勤務時間外の労働を命ずることはできないという理由から、残業代を支給しないとなったそうです。
特殊性もよくわかりませんが、部活動はじゃあどうなるの?と疑問が浮かびましたが、そういうことらしいです(笑)
しかし、校外学習や修学旅行など、時間外勤務をせざるを得ない時には、微々たる額ですが、時間外手当が支給されることになっています。
残業代の代わりに教職調整額と呼ばれる月給の4%が支給される
給特法では、時間外勤務手当を支給しない代わりに、教職調整額を支給すると定められています。
教職調整額は、全教員一律に給料月額の4%が支給され、期末・勤勉手当や退職手当等の算定の基礎になります。
制度的には、公立学校の教員には残業代が支給されないものの、教職調整額によって公平性は保たれているとされているようです。
教職調整額の支給額は、昭和41年(1966年)に文部科学省が行った教員の勤務状況調査の結果をもとに、俸給月額の4%と定められました。
昭和41年の教員の超過勤務時間(1週間平均)
- 小学校:1時間20分
- 中学校:2時間30分
- 平均:1時間48分
上記の平均超過勤務時間を下に教職調整額は4%と定められています。
しかし、令和2年(2020年)に行われた勤務実態調査によると、1ヶ月の平均残業時間は、約56時間(小学校、中学校、高等学校、特別支援学校平均)で、法律制定当時の7倍以上になっており、実態との乖離が指摘されています。
教員でいることのデメリット②忙しすぎる(休憩時間がない)
ほとんどの企業は、お昼休憩として、1日に1時間程度休憩時間が設けられています。
しかし、教員には、実質上、休憩時間なるものがありません。
なぜ、実質上と言ったかというと制度上は休憩時間が設定されているのです。
お昼は、給食指導があるため、お昼の時間帯ではなく、退勤時間の1時間前が休憩時間となっているのです。
実際は、この時間はもちろん仕事をしています。
そもそも、この休憩時間に当たる時間に、会議、部活動指導、委員会なんてことはざらにあります。
中学校、高校は、教科担任制度のため、空き時間というものが存在します。
その時間に、事務作業をしたり、授業準備をします。
なので、この時間も休憩時間にあたりません。
小学校の先生は、自分のクラスにずっと入って授業をしているわけですから、もっと大変ですよね。
教員でいることのデメリット③休めない
私は教員のデメリットの中でも、これが1番大きいのではないか、と思っています。
前回、メリット編でお伝えしたと思いますが、長期休みでは、休みやすいんです。
しかし、授業がある日の有給休暇の取得など、到底不可能です。
慶弔休暇、体調不良以外のリフレッシュ休暇は、基本的に取ることはできないと思っていた方がよいでしょう。
なぜならば、授業があるからです。
授業がある日に休むということは、「その授業を他の人にお願いする、もしくは補教(自習)をお願いする」ことになるのです。
他の先生にもそれぞれ授業がありますから、他の先生の空き時間を減らしてしまう=負担を増やしてしまうことになります。
そこまでしなきゃいけない気苦労を考えると、どうしても休まなきゃいけない時以外の休みは避けようと思うようになります(笑)
ただし、体調不良の時は、絶対に無理せずに休んでほしいです。
コロナか禍ということもありますが、無理して働いても、周りに気を使わせてしまいます。
教員でいることのデメリット④大変な保護者に当たるとメンタルを病む
私は、先生のうつ病の原因の1番は、この「保護者との関係」だと思います。
基本的には、モンスター級の親は、そんなにはいないのですが、地域や学年、そして経験数によっては、当たってしまうこともあります。
保護者と教員は、「同じ方向をむき、ともに子どもを育てる」という認識でいてほしいものですが、そうではない親も存在します。
例えば、いじめの加害者になり、指導をした場合に、その指導に納得しない親や、我が子可愛さに無理難題を学校に要求してくる親など様々います。
そういった時に、管理職や同僚の先生が、しっかりその当事者となった先生を守ってくれる体制があるべきですが、実際にはその先生が学校側からも責められ、病んでしまうこともあります。
私の学校でも、何人かが保護者との関係で精神を病んでしまった先生がいます。
保護者との関係に悩んだ時、相談にのってくれたり、話を聞いてくれたりする先生がいると心強いのですが・・・
教員でいることのデメリット⑤スキルアップが難しい
教員をしていて身に付くスキルってなんでしょうか・・・
パソコンスキルも一般企業に勤めている方が身につきそうですよね。
何かを売り込むわけでないし、プレゼン能力があがるわけでもない。
やっぱり、「教えるスキル」や「子どものやる気を引き出す」とかに限られてくるのでしょうか。
転職をする際に、教員をやっていて身についたスキルを自信をもって次の仕事にも活かせると言えるのかな、と考えてしまいました。
最後に
いかがでしたか。
きっとどの仕事をしていても、デメリットはあると思います。
教員を続けようか悩んでいる方は、自分にとってどうしても我慢できないデメリットがあり、メリットでもカバーできない、というものであれば、転職もひとつの選択かなと思います。
ぜひ、メリット編もご覧になってください。