今回の記事では、「中学校の成績ってどうやってつけたらいいの?」という疑問について考えていきたいと思います。
私が1年目の時もそうでしたが、「成績の付け方」を教えてくれる人、研修会が皆無です!
使うべきエクセルファイルや成績ソフトは教えてもらえますが、どのように評価したらよいのかは、自分から聞きにいくしかありません。
そんな状況の中で、「成績・評価の妥当性」が問われるようなことが起きてもおかしくないなといつも思っています。
そんな風に悩む先生の役に少しでも立てればと思い、記事を書いていきます。
では、始めていきましょう!
2021学習指導要領の目的と変更点
2021年の学習指導要領の変更点
観点の変更点 | ●4観点から3観点 |
観点の内容 | ●知識・技能(何を理解しているか?何ができるか?)
●思考・判断・表現(学んだこと・理解したこと・できることを使って何ができるか?) ●主体的に学習に取り組む態度(学びに向かう姿勢・粘り強く学習に取り組むことができているか?) |
変更の目的 | ●「生きる力」を身につけさせること
●多様性への理解や主体性、問題解決能力の育成 |
観点別評価と評定について
観点別評価とは
先ほど、4観点から3観点に変更された3つの観点それぞれに、3段階(A,B,C)の評価がつきます。
何を評価の材料にするのかは、この後お話ししていきますが、評価の基準と達成率は以下の通りとなります。
質的な評価の基準 | 量的な評価の達成率 | |
A | 十分に満足できる | 80%〜100% |
B | おおむね満足できる | 50%〜80%未満 |
C | 努力を要する | 50%未満 |
授業態度やノートやレポート、作品など数値で評価しにくい観点については、具体的な評価基準に基づいて、教師が授業中や授業後に適切に評価します。
テストなど数値で評価できるものは、達成率で評価します。
評定とは
観点別評価が3観点集まり、総括したものが評定となります。
評定 | 学習状況の程度 | 達成率 |
5 | 「十分に満足できているもののうち特に程度が高い」 状況と判断されるもの | 90%以上 |
4 | 「十分満足できる」状況と判断されるもの | 90%未満 80%以上 |
3 | 「おおむね満足できる」状況と判断されるもの | 80%未満 50%以上 |
2 | 「努力を要する」状況と判断されるもの | 50%未満 20%以上 |
1 | 「一層努力を要する」状況と判断されるもの | 20%未満 |
観点別評価と評定の例
評定 | 観点別評価の例 |
5 | AAA |
4 | AAA,AAB |
3 | AAB、AAC、ABB、ABC、BBB、ACC、BBC |
2 | ACC、BBC、BCC、CCC |
1 | CCCの中で一層努力を要するもの |
注意すべき評定と観点別評価の例
「知識・技能」がC、「思考・判断・表現」がCなのに対し、「主体的に学習に取り組む態度」がAになっている場合は要注意です。
「主体的に学習に取り組む態度」の観点を、提出物等でつけられる先生も多いと思います。
全く学習が身についていなくても、一見完璧そうに見える答えの丸写しで提出したノートやワークをAという評価にしてしまうと、こういう評価が出ることがあります。
基本的には、ワークやノートで評価する際には、「内容をしっかり見とること」が重要になります。
また、「主体的に取り組む態度」というのは、振り返りシートなどを活用し、一人一人の学びの過程をきちんと評価するべきものだからです。
評価材料について
評価をするにあたって、何をもって評価をするのかというのがとても大切になってきます。
私の教科は「英語」なので、英語の評価の付け方で、お話ししていきます。
成績の出し方は、各学校異なると思うので、ご自身の学校のやり方を必ず確認した上で、参考になさってください。
観点 | 評価材料の例 |
知識・理解 | ●既習文法事項を使って問題が解けるかを試す定期テスト、単元テスト、小テスト、単語テストなど
●ALTの先生とのスピーチテストなどの実技テスト ☞【英語使用の正確さ(言語面)】を評価しているか |
思考・判断・表現 | ●情報を整理しながら考えなどを形成し,英語で表現したり,伝え合ったりすることに関する事項ができているかを評価できるようなペーパーテスト、レポート、論述、発表活動(例:英作文、記述式問題など)
●ALTの先生との会話の中で、思考力、判断力、表現力を見とれるようなスピーチテスト ●伝える内容を自分で整理し、英語で話したり、書いたりして伝えるようなプレゼンテーション活動、作品制作 ☞【コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じた「表現内容の適切さ」】(内容面)を評価しているか |
主体的に学習に取り組む姿勢 | ●英語を用いて主体的にコミュニケーションを取ろうとしているかどうかを授業中の発言、ペアワークでのやり取り、ノートの記述などから評価
●粘り強さと自己調整力を見とる必要があるので、継続したワークシートへの自己評価や相互評価から評価 ●各種提出物の取り組み |
成績をつける上での留意点
評価内容、評価基準が適切か
ノートの記述やワークシートの評価など、数値で評価できないものに関しては、曖昧にしているとクレームの原因になります。
先生の中で、どのレベル書けていたらAなのかなど、基準をしっかりともっている必要があります。
また、評価材料が少なすぎると適切な評価にならないことがあります。
十分な評価材料が集まるように、授業内容を計画的に考えていきましょう。
評定の人数のバランス
現在の評価の仕方は、絶対評価と言われつつも、結果として相対評価になっています。
バランスとしては、4よりも5がつく人数が多かったり、3よりも4が多いなどが起きてしまうのはよくありません。
基本的には4〜3の間が山の頂上になるような人数のバランスであることが望ましいと言えます。
もし、4、5の人数が多くなってしまった場合は、「みんながやればできる差がつかない評価材料」になっている可能性があります。
差をつける評価をしなければならないのは、なかなかもどかしいところですが、そういった側面もあります。
最後に
いかがでしたか。
成績の付け方は、1番神経を使う作業だと思います。
先生方がきちんと自信をもって、しっかりとした基準をもって、成績をつけられていれば大丈夫だと思います。
今回の記事が多くの先生の参考になりますように。