中学校の中で、1番大変になるのが、中学3年生の進路指導ではないでしょうか。
進路指導というと、「受験」というイメージがとても強いですよね。
しかし、よく言われるのが、中学校3年間を通し、連携した進路指導、キャリア教育が必要だと言われます。
中学校3年間を通して、行われている進路指導、キャリア教育について、まとめてみました。
学年 | 進路指導の内容 |
中学1年生 |
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中学2年生 |
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中学3年生 |
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1年生は、より幅広く、視野を広げるための1年間、2年生では職場体験や高校見学、高校調べなどより実践的な体験を通して考えるための1年間、そしていよいよ3年生では、中学校卒業後の具体的な進路選択に向けて動いていく1年間となっています。
今回は、3年生の「進路指導」に関して、詳しくお話ししていきたいと思います。
進路指導で大切なこと①「自分は何がしたいか」を生徒に問いかける
中学3年生だと、将来について、具体的な夢が決まっている子もいれば、そうでない子もいます。
自分自身を振り返ってみても、中学3年生の時には、漠然とした憧れの職業があったくらいでした。
それも、全く現実味がなく、「なれたらいいな。」程度でした。
私は、そのような自分自身の経験から、夢から進路を決めるのは、一長一短だと思います。
「絶対、この職業につくんだ!」と思って、専門性の高い高校へ進学し、途中でその夢が変わったり、誰しもなれる職業ではなかった場合、言い方は悪いですが、「潰しが効かない」という状況になってしまうのです。
「何がしたいのか」というのは、言い換えれば、「何を高校で頑張りたいのか」です。
生徒に問う「何を高校で頑張りたいのか」ということの例 |
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これを基準にすると、自ずと方向性は見えてきます。
これを考えれば、自分の頑張りたいことに力を入れている高校はどこかという視点で調べることができる。
進路指導で大切なこと②国公立なのか、私立なのかの選択を考えさせる
これは、家庭の経済力にも大きく関わってきます。
また、首都圏なのか、地方なのかによっても異なります。
私は地方の出身ですが、地方の考え方は「公立に行くのが一般的、不合格なら、私立に行くしかない。」というものです。
しかし、首都圏の私立高校は、放課後の補習や土曜授業が充実しており、塾に行く必要がないほど、進学に力を入れています。
また、大学付属の高校も多くあり、大学進学を見据えて、大学付属の私立高校を希望する生徒も多くいます。
このような理由から、首都圏は「私立単願」を選ぶ親子も多く、地方の考え方とは異なります。
国公立高校 |
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私立高校 |
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進路指導で大切なこと③親子で進路について話す機会を多く設けるように伝える
3年生になると、進路面談はだいたい3回ほどあります。
最初はまだ意思確認程度ですので、よいですが、大詰めになってくる時期に親子で話ができていない、親子の考えが一致していないなどがあるとこちらも大変困ります。
あまり多くはありませんが、一定数いるのです。
あまりにも何も考えていない子どもに愛想尽かしている親、面談中に言い合いをする親子など・・・
普段から、進路面談の季節になる頃にはしっかり家で話をすることを伝えています。
心配な生徒に関しては、進路に対しての進捗状況の確認を定期的に行なうようにしています。
進路指導で大切にしていること④生徒の気持ちに寄り添うこと
進路面談でよく聞かれることの第1位は「志望校を変えた方がいいですか。」という質問です。
受験生からしたら、こう聞きたくなる気持ちもわかります。
学校は、実力テスト(定期考査ではなく、業者の作った当日の入試に近いテスト)の偏差値、得点と内申点(通知表の評定)のデータに基づいて、進路指導を行います。
客観的なデータを用いて、合格可能性60%、合格可能性80%に達している、達していないということを伝えることはできます。
しかし、それを元に「合否」に関しては言及してはならないと考えています。
これは、「先生が合格できる言ったのにできなかった。」などとのちにトラブルになる可能性が少なからずあるからです。
「志望校」を変更したほうがよいか、を聞かれたら |
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進路指導で大切にしていること⑤学年の先生と連携すること
進路指導というと、自分のクラスのことを担任1人で抱え込んでしまいますが、それはいけません。
特に、初めて進路指導を担当する先生は、不安が大きく、何を伝えてよくて、何がダメなのかがわかりませんよね。
進路指導主任という先生のもと、どのように進路指導を進めていくのかしっかりと連携をとりましょう。
また、学校のデータの開示など、「どこまで保護者や生徒に伝えて良いのか。」というのも確認しておく必要があります。
調査書や推薦書の書き方なども、学年でしっかりと統一しておきましょう。
とにかくわからないことがあったら、必ず周りの先生の確認することと、しっかりと情報を共有し、連携することが大切です。
最後に
いかがでしたか。
進路指導は確かに大変ですが、生徒が大きく成長するチャンスでもあります。
共に苦しみを乗り越え、納得のいく進路を決定できるよう、サポートしていくのが私たちの仕事なのかなとも思います。
今回の記事が参考になれば幸いです。