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「特別の教科 道徳の評価って、何を、どんなふうに書いたらよいの?

平成31年度から中学校でも「特別の教科 道徳」の評価が始まりました。

 

小学校では、前年度から始まっています。

 

初めて、「評価」の話を聞いた時は、驚きました。

 

 

戸惑う先生A
何をもって評価するのか?

 

戸惑う先生B
毎学期ごとに評価をするの?

 

たくさんの混乱と不安の中で、「特別の教科 道徳」の評価が始まったことはいうまでもありません。

 

現在、自治体、中学校ごとに「評価の時期」や「評価の回数(年間何回なのか)」というのは異なっています。

 

しかし、「評価の方法」は全国共通だと思っています。

 

今回は、「評価の方法」についてお話ししていきたいと思います。

 

授業の組み立て方・発問の工夫については、こちらをご覧ください。

 

 

道徳の評価とは?

 

評価とは、とても簡潔にいうと、「通知表に学びの状況を記載する」ということです。

 

今までは、道徳について、保護者が学びの状況を知る術がありませんでした。

 

しかし、教科化したことによって、保護者は通知表の道徳の評価をもって、我が子がどのように道徳的に成長をしたのかを見とることができます。

 

イメージは、「総合的な学習の時間の評価」のようなものです。

 

「特別の教科 道徳」は、もちろん定期テストもありませんし、小テストもありません。

 

そもそも、「正解がわからない哲学的なこと」を考えていく時間に対する評価をある決まった基準で評価するのは不可能です。

 

道徳の評価をする際の注意点

  • 数値による評価は行わない。
  • その子ども一人一人が、道徳の授業を重ねていくうちにどのように変容していったのか、ということを見とっていく。
  • 保護者が読んだ時に、わかりやすく、子ども成長が感じられる書き方をすること。
  • 具体的には、所見のような文章の形で評価をする。(200字以内)

 

 

評価の時期は、毎学期ごとだったり、学年末のみだったり、自治体や学校によって異なります。

 

評価の着眼点

そもそも、道徳が教科化していったのには、考えさせられるような背景があるのです。

 

  • 2010年代から増加していった中学生の自殺。
  • 卑劣ないじめ問題

 

これらが社会的にも大きな衝撃を与え、当時の文部科学大臣が2016年に、こう提言したのです。

 

「特別の教科 道徳」の充実が、いじめ問題や自殺の防止に大きな意味をもち、大変重要だ。

 

この提言により、2018年から小学校で、2019年から中学校で、「特別の教科 道徳」が全面実施となりました。

 

では、今までの道徳の授業と何が変わったのでしょうか。

 

元来の道徳の授業の内容 「特別の教科 道徳」に求められる授業の内容
  • 「読み物」の主人公の気持ちを読み取る。
  • 「いじめはいけない。」と生徒に書かせたり、発言させたりする。
  • 自分ごととして考えることが少なかった。

 

  • 読み物の主人公の気持ちを追っていくことで、自分自身と向き合う。→道徳的価値を深めたか。
  • 考えの異なる仲間と議論を交わす、「考え、議論する道徳」
  • 自分自身の生き方・在り方」を様々な立場や考えを聴きながら深めていく。→多面的・多角的に考えることができたか

 

 

よく聞く「考え、議論する道徳」とは、「仲間の意見をたくさん聞く。」ということなので、班での話し合いを取り入れることが必須になりました。

 

「特別の教科 道徳」の評価のポイントは、上の表のオレンジ色の文字部分です。

 

「特別の教科 道徳」の評価の着眼点

道徳的価値を深められたか 多面的・多角的に考えることができたか
・道徳的価値とは、内容項目のことだと考えてOKです。

・思いやりという道徳的価値だったら、

「今の自分と照らし合わせて、主人公の行動について、思いやりについて考えを深めていた。」

「主人公の行動を、自分ならこうするかな〜と考えていた。」

こういった見取りでよいです。

・友達の意見を聴きながら、うなずいていたか。

・話し合いの時に、様々な意見を出していたか。

・「友達の意見を聞いて、考えが広がった。」

「友達の考えを聞いて、考えが変わった。」

という発言やワークシートへの記入があったか、など。

 

 

 

評価の方法

評価の方法はいくつかあると思います。

 

評価の方法とおすすめ度

★★★ ワークシートをノートに貼っていく方法
  • 副教材の道徳ノートを購入し、それに作成したワークシートを貼っていく。
  • 授業の中で、貼り付け作業をし、ノートを教室で保管すればなくすことはほぼゼロ。
  • 道徳ノートには、毎時間の振り返りがついているので、変容を見取りやすい。
★★☆ ワークシートをファイルに保管
  • きちんと整理ができる子にとってはノートと同じくらいよい。
  • ファイリングが苦手でやらない子は振り返りの時間に困ってしまう。
  • ファイリング指導も徹底してやることが必要。
★★★ 道徳の振り返りシート
  • ノートやファイルと併用。
  • 学期ごとに、一番心に残った授業とその理由などを記入する。
  • ノートとファイル、振り返りシートがあれば、評価文の作成に大いに役立ちます。
★☆☆ 座席表の活用
  • 座席表に一人一人の様子を記入できる欄をつくり、1時間ごとに評価する。
  • 内容は、「うなずき」・「発言」などを記入するようになっている。
  • 授業をしながら、評価を行うのはとても難しく、先生への負担が多い。

 

 

私は、道徳ノートの活用と学期末の簡単な振り返りシートで道徳の所見文を書いています。

 

振り返りシートの内容

  • どの授業が1番心に残ったのか。
  • その理由は?
  • 自分の考えはどのように変わった?(変わらなくても、その気持ちが一層強くなったとか、改めて感じたとかでもよい)
  • その考えを強くしたのはなぜ?(友達の考えを聞いたから? お話を読んで? 過去の自分を思い出した?)←選択肢を用意します。

 

生徒たちは、一生懸命、自分たちの学びのノートやワークシートを振り返りながら、このシートを記入しています。

 

選択肢などを用意することで、「書くことが難しい子」でも、なんとか記入をすることができます。

 

道徳の授業において、「発言や記入が難しい」生徒の成長を見ていくかというのが課題にになっていると思います。

 

これに関しては、私も研究中であります。

 

少なくとも、「話し合いを聞いている様子」や「学期末の振り返りシートに選択肢を準備し、その選択肢をみる」という方法で、今は評価をしています。

 

具体的な評価文の例

 

評価のNG(だと言われている)事項

  • 「〜することができた。」というような評価規準があるかのように思われる表現はしない。
  • あくまでの、道徳の授業の中のことの成長にとどまること。(他の学校生活については述べない)
  • 他の生徒と比較しない。
  • 「積極的な発言をした」など単なる学習活動のみの評価をしない。
  • 保護者が読んでわかりにくい表現を避ける。

 

評価のポイント

  • 200字以内。
  • 生徒が実際に思ったこと(ワークシートの記入)から、言葉を引用する。
  • 仲間との話し合いの様子、授業の全体の姿勢についても少し触れる。
  • どんな変化があったのかを書く。
  • 具体的な教材名を入れる。

 

では、実際の評価文の例を見ていきましょう。

 

評価文の例

運動会前に行った「仲間」という授業では、仲間の考えに熱心に耳を傾ける姿が印象的でした。運動会の練習で、何度も挫けそうになった気持ちを友達という存在があったからこそ、乗り越えられたと改めて感じていました。これからは、自分が友達に支えられているように、友達のことも支えていきたいという意欲を高めていました。

 

「老い」について考える授業では、祖母に辛く当たってしまう主人公と自分を重ね合わせ、「もどかしい」気持ちに共感していました。人は誰しも老いていくこと、それには逆らえないということを仲間との話し合いの中で深め、今までできていたことができなくなっていく祖父母を家族として支えたいと強く思うようになりました。

 

「どうせ無理をなくしたい。」という授業では、周りに何度も否定された夢を叶えた主人公の努力に感銘を受けていました。日々の部活動や学習の中で、「自分で限界を決めない。」「自分が無理と思わない。」ことが大切だと気づきました。考え方を変えることで、自分の可能性を広げようとする気持ちを保とうとする意欲が見られました。

 

どんな子でも、キラリと光っていた部分を見つけ、評価につなげる。
マイナスな評価はしない。

 

最後に

いかかでしたでしょうか。

 

評価に関しては、非常に難しいと思います。

 

クラスに40人近くいると、どうしても見えない子が出てきてしまいます。

 

評価のことを意識しながら、「今日はこの子のことをよく見てみよう。」などど考えながら授業することができたら、理想ですね♪

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