先日、勤務校で「話すこと・聞くことの調査」という全国学力調査がありました。
この調査は、抽出によって、調査の対象の学校が決まるそうですが、教員人生で初めの経験でした。
国語、数学は、ペーパーテストのみでしたが、英語は実技調査もありました。
生徒一人一人がタブレットを使用し、聞かれた質問に正しく応答し、それが録音され、評価されるというものです。
「話すこと・聞くこと調査」をやってみての感想
調査自体は、業者の方がやってくれますが、そこに監督としてついている必要がありました。
監督してみた感想は・・・
全然しゃべれない!!!
話せるかどうかは、もちろん生徒によるのですが、圧倒的に話せない子が多いこと、を実感しました。
いやあ、落ち込みました。
普段の授業で扱っている内容より、易しい問題だったはずですが、やはり話す力を身に付けることの難しさを痛感しました。
これから、高校受験や大学受験では、より「英語を話せる力」が求められるようになります。
今回の調査の様子から、改めて授業の中で、「いかに話す力を身につけさせることができるか」を考えました。
この記事では、「公立中学校で話す力を伸ばすための授業の工夫」についてお話ししていきたいと思います。
話すことの様々な技能とそのための活動
求められる力 | その力をつけるための主な活動 |
即興で話す力 | ①Q&A(帯活動) |
読んだり、聞いたことに対して自分の思いを伝える力 | ②教科書にオリジナルの表現を加える、ALTからの即興の質問に答える |
まとまりのある内容で話す力 | ③即興スピーチ活動(帯活動)、スピーチ発表活動 |
会話を継続する力 | ④チャット活動 |
質問したり、答えたりする力 | ⑤Q&A(帯活動)、インタビューゲーム(帯活動)、説明ゲーム(帯活動) |
聞いたり、読んだことに対し、要約する力 | ⑥ショートエッセイを読み、要約するなどの活動 |
①Q&A
これは、授業のはじめの5分を使い、行う活動で、簡単にいうと、「英語で質問し合う」というものです。
①Questions and answer training
簡単な質問をリストアップします。 習った文法項目を使います。 ・How are you ? ・Do you like sushi? ・Do you play the guitar? ・What food do you like the best? ・Why? ・When is your birthday? などです。これをとにかくペアで何度も質問を変えて、行います。 目的は、「英語を話すことに慣れる、抵抗を感じないようにするため」です。 ※慣れてきたら、このリストにはない、オリジナルの文を生徒にいくつか作らせて質問させるようにするとよいです。 |
②教科書本文のスキットにオリジナルの文を付け加えさせる。
多くの学校では、ペアで教科書のスキットの練習をさせていることと思います。
そこで、教科書のスキットの会話が終わってから、それぞれ1文ずつ、オリジナルの文を付け加えさせます。 例) このような教科書のスキットがあるとします。 Mary: What did you do during the summer vacation? Ken: I went to Okinawa. I visited my uncle. Mary: That’s nice. How was it? Ken: I has a good time. I swam there. ここで、スキットは終わりですが、この後に続く会話を生徒同士でやらせます。 例えば、 生徒A:What did you do, Mary? 生徒B:I went back to America. I met my family. このように生徒に会話を考えさせることで、即興力も身につきます。 |
③即興スピーチ活動、④チャット活動
スピーチ活動には2種類あります。
即興スピーチ(チャット活動)
授業の始まりの5分程度、帯活動の時間で行うことができます。 2人ペアで行います。 お題を提示し、それに沿って時間内に自由に会話をするというものです。 例)My favorite song, The country I want to go, My dream, School events …. 生徒自身にとって、なじみのある、簡単な英語で話しやすいテーマから始めるのがコツです。 |
じっくりスピーチ
授業の中で、準備の時間をかけ、原稿を作ってからスピーチをしていくものです。 お題の例)My dream, My name project(名前の由来),My Family, The person I respect 準備期間があるので、発音のレベル、文法の正確さなど、求めるものをレベルアップします。 ALTの先生などにも評価してもらい、成績に入れると、生徒のやる気もアップします。 |
⑤説明ゲーム
これはとても面白いので、大盛り上がりのゲームです。
これは座席の横向きではなく、縦向きの前後ペアで行います。 まずは、前後ペアの前側に座っている人が後ろの人の方を向き、黒板に背を向けます。 黒板にお題を書きます。 例)sushi, the USA, Justin Bieber, Aladdin, strawberry など、皆が知っていそうなお題 お題が見えている人は、制限時間内(1~2分)にそのお題を英語で説明し、当ててもらいます。 これは、手軽にいろいろな単語、文法を復習、アウトプットできるのでおすすめです。 |
⑥要約の力をつける活動
これは、すごく難しいことだなあという感想です。
要約の力とは、読む力、聞く力があってこそだと思うからです。
そのために、たくさんの生の英語を聞いたり、エッセイなどを時間内に読めるようにするなどの訓練が必要です。
そいうった活動を少しずつ取り入れていき、「要約する力」の基礎を作ってあげるのがベストかもしれません。
私も授業の中で、なかなかそういった時間が作れていないので、きちんと取り入れるようにしていこうと思います。
最後に
いかがでしたか。
日本人が「英語がしゃべれない。」という時代はもう終わりにしたいと切実に思うのです。
これだけ英語教育が変わっても、話す力が伸びていかないと何も変わっていないのと同じです。
間違いは成長の一歩、恥ずかしがらずにどんどん英語を発していける、そんな授業を作っていきます。