小学校ではすでに平成30年度から「特別の教科 道徳」として、今まで教科ではなかった「道徳」の授業が教科になりました。
中学校でも、翌年の平成31年度から、教科としての「特別の教科 道徳」の授業が始まりました。
このような疑問・混乱があったのは、先生方もご存知の通りだと思います。
今までと大きく異なる点
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評価に関しては、とても興味深く、困っていらっしゃる先生方もたくさんいると思います。
別の回で、評価について、詳しく書いていきたいと思います。
今回は、道徳の授業の目的や発問の工夫など、道徳の基礎的な部分をお話ししていけたらと思います。
道徳教育は海外にはない!?
中学生の頃は、海外の人も同じように、「道徳」を学校で学ぶものだと思っていました。
しかし、留学した時、中国人の友達に、「日本では道徳を学校で学ぶの?」と聞かれました。
中国人の友達からの話
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その時に初めて、「海外の道徳事情」について、興味をもちました。
諸外国の道徳教育の実施状況
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日本人の「礼儀正しさ」や「道徳心」は、もしかしたらこの学校教育としての「道徳」のおかげなのかもしれませんね。
最近、失われつつあるとも言われているので、一層道徳の授業に力を入れていきたいものです!
道徳の授業のポイント
教科書が指定のものになり、先生のお気に入りの教材で授業ができなくなったことは、道徳の教科化による大きな弊害かもしれません。
指導書やワークシートも付属してついていますが、あまりしっくりくる発問が考えられてないのと思うのが正直な感想です。
生徒が考えやすく、自分を通して主人公の気持ちになりきれる、そんな発問を考えるポイントは、
その前に、道徳授業の基本を抑えておきましょう。
道徳授業の基本
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そもそも生徒は、どんな時間に考えを深めていると思いますか。
ワークシートに記入をしているときでしょうか?
グループで話し合いをしている時でしょうか?
生徒がじっくりと考えを深められるように、丁寧に読むことを心がけてみましょう。
発問の工夫
発問を考えるのって本当に難しいですよね。
私が様々な研修や実際の授業で学んできたことをお伝えし、先生方のヒントになればと思います。
発問の準備
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では、実際の教材を例に考えていきましょう。
「二通の手紙」という題材をご存知の先生も多いと思います。
二通の手紙(省略バージョンです)
ある日、入園時間を過ぎ、動物園にやってきた高校生がいた。
佐々木さんは、「申し訳ございません。入園時間は過ぎているので・・・ またのご来園をお待ちしています。」と断った。 バイトである僕は、「いいじゃないですか。僕が入れてあげますよ。」というと、佐々木さんが「ダメなものはダメなんだ。」と言った。 僕は、「固いんだから。」というと、佐々木さんは、かつてこの動物園に務めていた「元さん」という人の話を始めた。 元さんは動物園で働いていた。 とても真面目で、働きぶりは感心するもので、定年を過ぎてもここで「臨時職員」として働くことが決まっていた。 そんなある日、幼い兄弟が入園時間を過ぎた頃に、やってきた。 元さんをはじめ、佐々木さんも彼らのことをたびたび目にしたので知っていた。 いつも動物園の入場口の外で、中を覗いていたからだ。 幼い兄弟のお姉ちゃんは小学校三年生くらい、弟は3、4歳くらいだった。 「ごめんね。2人くらいの年齢だと、おうちの人と一緒じゃないと入れないんだよ。それに今日は入園時間が過ぎているんだ。また、おうちの人とおいで。」 というと、小さな手に握り締めた入園料を見せ、「今日はちゃんと入園料もってきたんだよ。それに・・・・キリンさんやゾウさんにやっと会えると思ったのに。今日は弟の誕生日だから、見せてやりたかったのに。」 小さな女の子は今にも泣き出しそうだった。 親と一緒に来られないのは、何か事情があると察しがついた。 元さんは、2人の入園を許可した。 佐々木さんも異論はなかった。 閉園時間近くになり、出口にたっていても、一向に2人の姿は見えなかった。 元さんは時計のをちらちらみながら、出てくる人の様子をみていた。 閉園時間になっても、幼い2人は出てこなかった。 それから、動物園は大騒ぎになり、あらゆる部署に連絡し、園内の職員が総出で探した。 刻々と時間がすぎる中、元さんは祈るような気持ちで時計と電話を交互にみていた。 その時に、「2人が見つかった。」との連絡が入った。 どうやら、園内の雑木林の近くの池で遊んでいたらしい。 数日後、その子たちの母親から一通の手紙が届いた。 その子の父親は病気で、母親が夜遅くまで働いており、遊びにつれてもいけず、夜遅くまで母親の帰りを待っていたそうだ。 誕生日にした「元さんの対応」にとても感謝しているという内容の手紙だった。 しかし、その翌朝。元さんが手に持っていたのは「解雇通知書」だった。 佐々木さんは信じられなったし、元さんの行動が間違っているとは思えなかった。 しかし、元さんは、その二通の手紙を眺めながら、 「子どもたちに何もなくて本当によかった。私の無責任な判断で万が一事故にでもなっていたらと思うと・・・この二通の手紙のおかげでまた新たな出発ができそうです。」といい、晴々とした顔で動物園を去っていった。 |
私はこの赤線を元さんの気持ちの変化の場面だと考えました。
心配だが、子どもたちに動物を見せてあげたい(ジレンマ)
→事故にあっているかもしれない、どうして入園させてしまったのだろう(後悔) →大切なことに気づけた(やはり規則は規則、自分のやったことに責任をとろう、これからの生き方に活かしていこう) |
とても大まかですが、元さんの気持ちはこのように変わっていっていると考えます。
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少し難しいかもしれませんが、様々な考えを引出したいのであえてこういった問いかけにしています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
発問もたくさん考えることを繰り返すうちに、納得のいく発問が考えられるようになると思います。
「正解」がないからこそ楽しい!
これからもたくさん勉強していきたいと思います。