2020年から小学校3年生から6年生に英語(小学校では外国語活動)が全面実施されることになりました。目的は、急速に進むグローバル化に対応し、英語でのコミュニケーションに慣れる(=英語って楽しいと思えること)ためと言われています。また、中学校に入学し新たに始まる英語の授業にスムーズに移行していけるようにするためという目的もあるそうです。
しかし、中学校の英語教員としては、小学校の英語教育で、好き・嫌いが分かれてしまって、英語に苦手意識をもって中学校に上がってくるよりかは、今までのように「中学校で英語はみんな一斉スタート」の方がやりやすかったりします。(余談ですが・・・)
2020年からスタートといっても、実際にはもうすでに小学校での外国語活動は以前から始まっています。それが、2020年度からは3、4年生は「外国語活動」というカリキュラムとして、5、6年生は「外国語」という教科として導入されます。
英語を教えるのは、3、4年生では、主に学級の担任の先生が、ALT(外国語指導助手)などとのティーム・ティーチングも活用しながら指導し、5、6年生は、学級の担任の先生と専科指導を行う先生(英語を専門とする先生)が指導します。
小学校の英語教育の現状
実際にはこういった小学校の先生からの悲鳴が聞こえてきそうです。
小学校において、英語の専科教員(英語の教員免許をもつ)が2020年度までに5000人増員されるとのことですが、全国に2万2000校ある小学校すべてに英語の専科教員が配置される準備が整うまでにはまだまだ時間がかかりそうなのが現実です。
このような現実を考えても、英語専科ではない先生方が、「専門じゃないし、やり方もわからないけど、やらなきゃならない現状」がひしひしと伝わってきます。
小学校の英語の授業での目的
小学校でも、中学校や高等学校と同じく、「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能をバランスよく身に着けることが目標とされています。
どの発達段階でも同じだと思いますが、英語を学ぶ私たちは、英語にフォーカスしがちですが、英語をあくまでも手段です。英語ができるようになることが目標なのではなく、英語を使って何ができるようになるのかに焦点をあてることが大切です。
最初は、その批判的なコメントに衝撃をうけました。私がうけてきた今までの英語の教育が英語ができるようになることが「目的」であり、英語ができればそれを手段にして「世界が広がる」ということを教えてはくれなかったのです。英語を手段として習得できれば、
「サッカーの遠征で海外に行ったときに現地のこどもたちと意思疎通ができる。」
「恋をした人が日本人じゃなかったけれど、英語で語り合うことができる。」
「旅行した時に英語があったから、トラブルを避けることができた。
「仕事で英語ができたことにより、さらにスキルアップができるようになった。」
日本いるとか、海外に行かないとか、そんなことはもはや関係ないのです。英語を手段として習得することが「世界を広げる」鍵となっているのです。いわば、自分の人生を豊かにしてくれるもの、可能性を広げてくれるものになっているのです。
文部科学省によれば、最近の小学校の授業には、「オリンピック/パラリンピックについて議論する」というかなり高いレベルの授業を求めているようですが、中学生でもここまでできないと思いますので、さすがにここまでは求めすぎです。
力をつけるのはもちろんだか、英語って楽しい、英語で世界が広がるという意識をもたせることが一番大切。
小学校の授業の展開の方法
先生ご自身に英語力に不安があったりするかもしれません。小学校の先生は今までオールマイティーに国語・算数・理科・社会・体育・音楽・生活・道徳を教えてきたわけで、それに加えて英語だなんで、不安に感じるのは当たり前です。教材研究も大変かと思いますが、こどもたちと一緒に楽しむ、学ぶという姿勢で授業を展開していけばいいのではないかと思います。
4技能の身につけ方(大まかに)※細かなアイディア集は次に紹介します。
話す | 聞く | 書く | 読む |
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小学校では話すこと/聞くことに力を入れて、基礎を作ることが大切だと思われます。たくさん聞いて、たくさん話す。英語はコミュニケーションです。子供達同士がコミュニケーションをたくさん取れる時間にしましょう。また、ALTの先生を最大限活用するとよいでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。とても大まかでしたが、小学校の英語の教科化の現状がお伝えできたかと思います。
次回は小学校での授業の流れややり方をお話しできたらと思います。