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中学生のための学習支援〜一人一人を大切にする学級経営〜

「特別支援教育」という言葉を聞くと、どのようなイメージをおもちでしょうか。

 

悩めるネコA
特別支援学校や特別支援学級で行われている教育?

 

悩めるネコB
通常学級には関係のない話だよね?

 

私が教員になりたての頃は、悩めるネコ先生たちのように、思っていました。

 

しかし、いざクラスをもってみると、こういった子たちがいました。

  • 授業中ずっと喋っている子
  • 学習能力は低くないのに、立ち歩きがひどい子
  • 姿勢が悪い子
  • 文字を書くのが難しい子
  • 指示を全体で聞くのが難しい子

 

初めは、「私のやり方が悪いから、このように態度が悪かったり、意欲がないんだ。」と自分を責めていました。

 

そして、時にそういった子たちに、「きちんとしなさい。」、「ちゃんとやりなさい。」という間違った声かけをしてしまっていたのです。

 

現在、通常学級においても、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症等、学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とする生徒は、一つの学級に約7%いると考えられています。

 

生徒の望ましくない態度は、「なまけ」や「ふざけ」ではなく、「つまずきの現れ」と捉えよう。
「つまずき」の背景は何なのか、生徒をよく見取り、原因を探ろう。

では、さっそく詳しくお話ししていきましょう♪

 

生徒の様子から考えられるつまずきの背景とその手立て

 

パターン①先生の指示を聞いて、動けない子

生徒の様子 つまずきの背景 手立て
  • 先生の指示を全体で聞くことができない。
  • 一度にたくさんの指示を覚えられない。
  • よく後ろを振り返ったり、隣を除いたり、周囲を見て行動する。
  • 聞きもらすことが多い。

 

  • ワーキングメモリの弱さ

※ワーキングメモリ⇨情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。作業記憶、作動記憶とも呼ばれる

 

  • 見て確認できるものを用意しておく。

(例)黒板に書いておく

  手順を示したカードを机の置いておく

  • 複数の指示を一度に出さない。
  • 1指示、1動作
パターン②集中するのが難しい子
生徒の様子 つまずきの背景 手立て
  • 集中できる時間が短い。
  • 落ち着きがない。
  • 私語が多い。
  • 注意散漫。
  • 周りにちょっかいを出す。
  • 活動の切り替えが難しい。
  • 姿勢が悪い。
  • 注意するという機能の持続の弱さ。
  • 授業の内容がわかっていなかったり、なぜ学ぶのか、という意味が見つけられていない。
  • 耳から入る情報(聴覚機能)を長い時間持続させることが難しい。

 

  • 注意を十分に引きつけてから話す。
  • 長時間同じ話をしたりせず、授業の場面をいくつか切り替える。
  • 座る、立つ、グループになるなど、姿勢を変える動作を取り入れる。
  • ペアワーク、グループワークを活用し、学ぶのが楽しいと思える授業にする。
  • 目につく行動を正そう、直そうとしない。

 

叱らないというのは、とても難しいですが、叱ってばかりだとクラス全体が授業から遠ざかっていくので注意です。

③書字に課題がある子(特に英語で目立ちます)

生徒の様子 つまずきの背景 手立て
  • 小さい「っ」や濁音、「お」と「を」がわかっていない。
  • 枠の中に字を書ききることができない。
  • 位置関係や大きさに気をつけて、書けない。
  • 板書を見ながら、ノートに写す作業に時間がかかり、字が曲がっていく。

 

  • 言語の音韻の単位を操作する能力が弱い。
  • 眼球運動のつまずき(飛ばし読みなどがある)
  • 視覚認知の弱さ
  • 視覚性ワーキングメモリの弱さ

 

 

  • 書けた部分を評価する。
  • そばにいって、よく見てあげる。
  • すぐ横に先生の板書メモを置いて、すぐ近くでノートを写せるような環境を整える。
  • いつでも正しい見本を見れるように準備する。
  • 板書も余白、文字の大きさに気を付ける。
  • 補助線のあるノートやマス目のあるワークシートを用意する。

 

最近、中学生でも、この「書字困難」の生徒を多く見かけます。

 

特に、中学1年性の一番初めにアルファベットを習いますが、複雑な形、似ている文字があり、覚えるのがとても難しいようです。

 

わざと覚えないのではなく、視覚認知の弱さなどからできないことも多くあるので、丁寧に時間をかけて、指導することをお勧めします。

 

  • お手本
  • マス目
  • 説明をしながらの個別指導
  • 家での練習

 

こういった工夫をすることで、生徒のつまずきに寄り添うことができます。

 

クラスの力が仲間を救う

支援が必要な子がいて先生がかかりきりになったり、注意散漫で先生によく叱られている子がいると、次第に子どもたちの心は「嫌な気持ち」が溜まっていきます。

 

  • あの子のせいでいつも私たちまで怒られる。
  • 先生はいつもあの子ばかり気にかけている。
  • あの子の動作が遅いせで、いつも待たされる。

 

こんな言葉が子どもたちから出てきたら、要注意です。

 

そこで、私が気をつけていることをいくつかご紹介します。

 

①助け合えるクラスを目指す

  • 人は誰しも、大なり小なり、苦手や難しいことがある。先生にもある。
  • 困っている人、できない人を助ける。それはお互いさまだよ。
  • 相手の立場にたって、発言・行動できる人になろう。

こんな話を学級びらきでします。

 

大きな行事の前や少し気になる言動・行動があった時にも折に触れて話しています。

 

②支援やサポートは個別に

  • 支援を要する子は周りの目を気にします。
  • 授業中の支援もできるだけさりげなく。
  • ゆっくり支援してあげるときは個別に時間をとろう。

 

③どんな小さなことでも褒める

  • 小さいことでも、思いやりのある行動、素敵な行動を見つけたら、すぐに褒める。
  • 特に大人しく、手のかからない子に大しては多少おおげさに。

 

いろいろな生徒がいます。

 

クラスは仲間です。

 

支え合いを大切に、一人一人を大切に思えるクラスを作っていきたいものですね。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。

 

こういったつまずきの背景には、「自閉症スペクトラム障害」、「学習障害」、「注意欠如多動性障害」などの発達障害が背景にあることもあります。

 

しかし、通常学級に在籍している生徒は、そういった検査を受けたり、診断はされていないけれど、なんだか困っている様子の子がほとんどです。

 

診断の有無にかかわらず、つまずきによりそい、少しでも困っている生徒に寄り添える教員でありたいものです。

 

中学校の学級経営で気をつけていること〜生徒との関わり方〜

 

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